時は昭和の初め――。活気あふれる港町青森の往時の目抜き通りに、ひときわ目を引く白亜の近代建築がそびえていました。第五十九銀行青森支店です。この由緒ある建物と町並みの歴史を受け継ぎ、昭和48(1973)年9月20日、青森県立郷土館は開館しました。それから半世紀。「ふるさとの過去を語り、現在を考え、未来を展望する」総合博物館として、その役割と使命を果たして参りました。
この間、県内外のみなさまからお寄せいただいた貴重な資料は、10万点に及びます。これらの資料を未来に向けて確実に継承するため、適切な環境のもとで保管するとともに、特別展や連携展、巡回展など、館内外における展示活動を通じて、積極的に公開して参りました。加えて、平成22(2010)年度からは資料のデジタル化に着手し、ネットワーク上での検索や閲覧を可能とするなど、利便性向上に向けた取組を推進しています。また、講演会、自然観察会、町歩き、体験教室、出前授業などの普及活動では、長年にわたる調査研究活動の成果をもとに、学ぶ楽しさを県民のみなさまと共有し、ふるさとの魅力を発信して参りました。更に、本県唯一の総合博物館として、青森県博物館等協議会の中核を担い、各市町村の博物館や資料館の交流の活性化と連携の強化にも取り組んできました。
県立郷土館には、県民のみなさま、特に若い世代の方々に、ふるさとの風土や歴史、先人たちの偉業などを知っていただき、郷土に誇りを持ってもらう役割も求められていますが、現在、当館は建物の長寿命化と、展示・収蔵施設の全面的なリニューアルに向けて、休館しています。50周年の記念すべき節目の年に、みなさまに御来館いただけないことは誠に残念ですが、半世紀の感謝を込め、特設ホームページを開設いたしました。
みなさまとともに築いて参りました伝統を受け継ぎ、新しい時代を切り拓くための学びと創造、そして交流の場となるべく、次の50年に向けて、職員一同気持ちを新たにしています。今後とも、変わらぬ御支援と御協力を賜りますよう、お願い申し上げます。